溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「どうかした?」
後ろから顔を覗き込まれてドキッとする。
「なにか悩んでる?」
続けざまに聞かれて身体が強張った。心の中を読まれたかも!?と一瞬焦る。
「どれどれ? どういうことを勉強してるのかな?」
「え、あ、あぁ、えっと……」
〝悩み〟が簿記のことを差していると気づき、ふっと力が抜けた。
「〝次の文章が正しければ○、誤っていれば×〟か。〝決算時に所有しているその他有価証券は、時価で評価し、評価差額は当期の損益としなければならない〟」
片瀬が問題を読み、「うーん」と腕組みをする。
「これは×だな。期末で時価評価はされるけど、直ちに売却・換金するものじゃないから、評価差額はB/Sの純資産の部に計上するはず」