溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
ほんの数秒考えた後、すらすらと解説付きで答えた。
「どう? 合ってる?」
優花の両脇から伸びた片瀬の手が、解答のページを探してテキストをめくっていく。
抱き込まれるような体勢に優花の胸が高鳴る。
目的のページを探りあてた片瀬は、「やっぱりそうだ。俺も優花と一緒に資格取ろうかな」とおどけた。
いっそのこと聞いてしまいたい。モヤモヤして悩むくらいなら、はっきり問いただした方がいいのではないか。
優花はふと、そんなことを考える。
もしかしたら倉田の言っていたことこそが、でっちあげの可能性だってある。結婚話なんてものも、本当は存在していないかもしれない。
自分に不都合な面に目をつむり、都合よく考えてみる。
「片瀬くん……」
優花は片瀬の方に身体を向け、思いきって口を開いた。