溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「ん? どうした?」
少し高い位置から優しい眼差しが注がれ、優花の心が大きく揺れる。
(もしも倉田さんの言う通りだったらどうする? 片瀬くんがあっさりと認めたら?)
倉田の方こそ嘘を吐いていると思ったすぐそばから、弱気な心が顔を出す。
片瀬が認めれば、たぶんもう一緒にはいられなくなるだろう。
すぐに意気地のない自分が顔を覗かせ、そこから先をなかなか言いだせない。
「少し疲れたんじゃないか? よし、俺がパワーを注入してあげる」
言うなり優花に重ねた唇。すぐに離れたかと思えば、吐息を感じる距離で片瀬がいたずらに微笑む。
「ちょっと待――」
優花が言いかけた言葉ごと、片瀬の唇に飲み込まれていく。軽く啄むだけだったキスはいつしか深くなり、交じり合った吐息が唇の端からこぼれる。