溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
後悔と愛しさと


キャリーバッグをコロコロと引きずり駅まで来たものの、優花に行くあてはどこにもない。会計事務所に勤め始めたため、無責任に実家に帰るわけにもいかず、改札脇の路線図をぼんやりと眺める。

(今夜は事務所の近くのホテルにでも泊まろうかな。明日からのことは、また明日考えよう)

そう決め、優花が改札へ身体を向けたときだった。


「あれ? 優花じゃない?」
「……亜衣!?」

人の流れに乗って改札口を出てきたのは、同窓会で十年ぶりに再会した亜衣だった。
こんなところで会うとは思いもせず、驚いた拍子に優花も大きな声になる。


「優花もこの辺に住んでるの?」
「あーうん、まぁ」


たった今その部屋を出てきたところだが、なんと答えたらいいのか。


「あれ? これから旅行?」


大きな荷物を持っている優花を見て、亜衣が目を丸くする。
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