溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

そんな情報まで亜衣が入手していたとは。
そこまで言われてしまえば、違うとも言えない。優花は力なく頷いた。


「それにしても、片瀬くんと優花が付き合ってるなんてねー」


不釣り合いな取り合わせだということだろう。
それは誰よりも、優花が一番わかっていることだ。


「美男美女だし、お似合いだよね」


思っていることと真逆を言われて面食らいながら、優花は「そんなことない」と首を横に振った。


「それにね、付き合っていたわけじゃないの」
「……一緒に暮らしてたのに?」


片瀬が望んでいたのは、まさに亜衣のように他人――大企業の令嬢に思ってもらうことだった。恋人同士だと思わせたかった。

亜衣はしばらく優花を見つめた後、「なにがあったのか聞いてもいい?」と遠慮がちに尋ねた。

困っている優花を部屋まで連れてきてくれた亜衣に、黙っているのはフェアではないだろう。
優花は、これまでの片瀬との経緯を話し始めた。

多分まだ気持ちの整理がつかないせいだろう。時々、話が前後してしまう優花だったが、亜衣は黙って耳を傾けてくれたのだった。
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