溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

◇◇◇

いったい何杯飲んだだろうか。それすらわからない割には、まったく酔いが回ってこない。

片瀬は空になったグラスを再び大吾の方へ滑らせた。
ところが、すぐに出されたのはカクテルグラスに入ったスパークリングウォーターだった。


「これ以上はバーテンストップだ」
「……なんだそれ」
「ドクターストップの別バージョン」


言いながら大吾がクククと笑う。


「人から話を聞くだけ聞いておいて、アドバイスもなし?」
「ほぉ。百戦錬磨の圭人から恋愛相談されるとは思ってもいなかったよ」


百戦錬磨が聞いて呆れるだろう。
なにしろこれまでの恋愛は、それと呼べるものではなかった。

(つまり俺は、恋愛初心者ってことか)

情けなさすぎて涙も出てこない。
< 150 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop