溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

「強いて言えば、最初がまずかったな。せめて〝恋人のふりをしてくれ〟くらいにしておけば、ここまで圭人の人格を地に落とすことにはならなかったのに。とにかく、これまでのツケが回ってきたってことだ」
「今さら言ったって始まらないよ」
「まぁそうだな。でもいつもの圭人ならどうするんだよ。仕事で失敗したと考えたときに」


大吾が仕事を引き合いに出してくるとは思わなかったが、片瀬はふと考える。

(仕事で失敗した場合か……。それなら答えはひとつしかない)


「汚名返上。名誉挽回」
「だろ? なら簡単じゃないか。その彼女の信頼を取り戻せばいい」


ずいぶんと簡単に言うものだ。どうしたらそれができるというのか。


「あ、今、そんなことどうやったらできるんだよって思っただろ」


図星を突かれて片瀬が目を見張る。
バーテンダーは侮れない。
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