溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
そもそも片瀬は、優花のことをなんとも思っていないはずだ。
「ここにバラが一〇七本ある。優花の持ってきたその一輪を足すと一〇八本。その意味わかる?」
以前、優花はどこかで聞いたことがある。
でも、それはあり得ないこと。
(だって、一〇八本のバラは〝結婚してください〟って意味だよ……?)
優花がふるふると首を横に振る。
「優花、俺と結婚して。いや、しよう」
その瞬間、ホテル内のざわめきがピタッと止んだようになる。
とんでもない言葉を発した片瀬を優花はただただ呆然と見つめるばかり。
(……今のって、プロポーズ? だけどどうして)
言葉の意味はわかっても、どうしてそうなるのかが優花にはさっぱりだ。
片瀬はバラの花束をソファへ置くと、もう一度優花に向かい直った。