溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

結婚は、同居のように気まぐれでするものではない。


「優花だけは失いたくなかった。こんなこと初めてだよ。でも、ひどいことをしてきた俺が信じてくれって言ったところで説得力がないだろう? だからこうする以外になかったんだ」
「私を信じさせるためだけに……結婚するの?」


そうだとしたら、目的を達成したらそれで終わり。つまり、優花のことはどうでもよくなる。

そうして疑心暗鬼になるのも無理はないだろう。

片瀬は身体をそっと引き離し、優花の両肩に手を置いて首を横に振った。


「優花のそばにずっといたいから。優花のことが好きだから結婚したい」


ラウンジにいる周りの人たちのことも気にせず、惜しげもなく愛の言葉を囁く。
誰にも本気にならないと聞いていた片瀬の、誠心誠意を尽くしたプロポーズだった。


「……本気で?」
「めちゃくちゃ本気」
「……ありがとう」
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