溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

「おいおい、喜和子、それはないだろう?」


柔和な顔の眉根が寄った。


「あらじゃあ、あなたも〝太一さん〟にしてもらう?」
「そんなことを強要したら、今どきはパワハラと言われかねないぞ?」
「それは困るわね」


ポンポンと小気味いいやり取りの後、ふたり揃って「うーん」と腕を組み、思案顔を浮かべた。
今までは娘も含めた三人でやってきたから、娘には〝お父さん〟〝お母さん〟と呼ばれてきたのだろう。

でも、そこまで悩むことでもないだろう。優花がクスッと笑う。


「あの、所長と呼ばせていただいてもよろしいですか?」


さすがに〝おじさん〟は失礼だ。


「うん、そうだね。やっぱりそれが妥当かな? けどちょっと照れるね」


守谷がそう言って頭を掻く。
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