溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
人のよさそうなふたりを見て、優花の緊張が解けていく。いいところに就職先が見つかった。
「優花さんのデスクはここね。娘が使っていたままで悪いんだけど、筆記具とかの備品は揃っているから、そのまま使えると思うの。ほかになにか必要なものがあったら、遠慮なく言ってちょうだいね」
喜和子が手で差したのは、綺麗に整頓されたデスクだった。
「はい、ありがとうございます」
早速引き出しを開けてみると、ボールペンやファイルの類が整然と並んでいる。ふたりの娘は几帳面な性格だったのだろう。
「それと、スーツだと堅苦しいでしょうから、ほかの洋服でも大丈夫よ。えーっとなんて言ったかしら……オフィスカジュアルって言うの? そういったスタイルで十分よ。ほら、私もこんなだし」
そう言って喜和子は、ミモレ丈のフレアスカートを広げてみせた。
「はい、わかりました」