溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

以前の事務所でもそういったスタイルだったので、それはありがたい。スーツを買い足そうかと思っていたが、その必要はなさそうだ。

向かい側のデスクに座った喜和子は、簡単に守谷会計事務所の説明を始めた。


「優花さんが以前勤めていた事務所は大企業も相手にするようなところだったと思うけど、うちは主に中小企業がお客様なの。それこそ従業員が十人前後の会社が多いわ。だから、優花さんにはちょっと物足りなく感じるかもしれない」

「いえ、そのようなことは。どんなお仕事でも精一杯させていただきます。会計士の資格があるわけではないので、事務処理的なことしかできないのですが、なんでもお申しつけください」


以前の事務所でも事務処理がメイン。会計に関する理解をもっと深めるために、簿記二級の勉強をし始めた矢先の解雇だった。


「それは頼もしい。頼りにしてますよ」


守谷と喜和子に言われ、優花は「はい」と強く返した。
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