溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「それなら、どんな男だって?」
片瀬はデスクに両肘を突き、おもしろがるようにニコニコしながら倉田を見上げた。
「会ったその日に愛を囁き、あらゆる女性に愛を惜しみなく振りまく男です。つまり、ひとりの女性に本気になることはない。おそらく優花さんにも『好きだ』『愛してる』などと囁いたのでしょう」
片瀬は、倉田がどこかで見ていたのではないかと疑いたくなった。もしくは、盗聴器でも仕込まれていたか。
確かにこれまでの片瀬は、そうして数々の女性たちを翻弄してきた。言い寄る彼女たちに、心の伴わない愛の言葉で応えてきた。
それは相手も同じだったろう。一種の恋愛ゲームのようなものだ。
だが、優花に言ったことの全てが嘘なわけではない。再会したときに運命的なものを感じたのは事実。
(まぁ、キスまでたやすく持ち込んだのに、首を横に振られたのは意外だったけど)
これまで関わってきた女性たちなら、あっけなく落ちていただろう。そのまま身体を求めても、拒むどころか尻尾を振って喜んだはずだ。
優花はなにが違うというのか。