溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

これまでのようにいかなかったことだけは、多少なりとも片瀬を戸惑わせていた。


「ですが、あの女性はやめておいたほうがよさそうです。今までのように、軽くさよならできるようなタイプではないですよ」


倉田が優花に会ったのは、街で再会したときのほんの一瞬だけ。その瞬間に、彼女の人間性がわかるとは、倉田はいったい何者なのだ。
やはり並はずれて優れたロボットなのではないか。それも、洞察力だけ桁違いに能力の高い。

抑揚のひとつもなく、淡々と説明され、片瀬は言い返す気力を失くす。


「とにかく今夜の会食は断っておいて」
「承知いたしました」


そこでようやく倉田は軽く頭を下げ、社長室から退室した。

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