溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「初出社はどうだった?」
「すごく居心地のいい事務所だった」
今日一日のことを思い返してみても、嫌な思いはまったくしていない。守谷も喜和子も、慣れない優花にひとつひとつ丁寧に教えてくれた。
「それはよかった。どうしてるか気になってたんだよね」
忙しい仕事の最中にそんな心配させてしまい、申し訳ない気持ちになる。
(……もしかして、迎えにきてくれたのはそのためなのかな)
だとしたら、片瀬にとって優花はとんだお荷物だ。
「ごめんね。でも私なら大丈夫だから」
片瀬はこのままマンションにいていいと言ってくれてはいるが、優花はそうはいかないと考えていた。
恋愛経験のない優花にも、このまま片瀬と一緒にいるのは危険だとわかる。女性に困らなそうな片瀬のこと。一時の感情を鵜呑みにしたら、きっと痛い目を見るだろう。