溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
恋に臆病な優花は、片瀬と接するたびに何度もそう自分に言い聞かせていた。
(今すぐは無理だとしても、給料をもらえたら今度こそ部屋をきちんと探そう)
密かに決意し、ひとり小さく頷く。
「まぁそう言わず、心配くらいさせてよ。で、今夜は優花の就職祝いをしようかと思ってさ」
「私の、就職祝い?」
優花は身体を運転席の片瀬の方へ向けた。
「そう」
「そんなのわざわざしなくて大丈夫だよ」
両手を胸の前で大きく振る。
片瀬にそこまでしてもらうわけにはいかない。
「遠慮するなって。デートの口実なんだから」
片瀬がクスッと鼻を鳴らす。
(デートって……)