溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

「依子さん、こんばんは」
「今日はお取引様ってわけじゃなさそうね」


優花をチラッと見てから、依子が片瀬に問いかける。
ここは普段、仕事で使う店なのだろうか。


「こちらは宮岡優花さんです」


片瀬に紹介され、「宮岡です」と優花も名乗って頭を下げた。


「お綺麗なお嬢さんね」
「依子さんもそう思いますか?」
「ええ、とっても」


ふたりのやり取りを前にして、優花は小さくなる以外にない。社交辞令だとわかるからこそ肩身が狭くなる。


「片瀬さんもすみに置けないわ」


ふふふと意味深に笑ってから、依子は「ご案内いたしますね」とふたりを奥の部屋へと案内した。
外観同様に白い内装は、一見すると懐石料理の店には思えない。懐石料理といえば座敷を連想するが、案内された個室はテーブル席だった。
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