溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
丸窓の外は真っ暗だが、夜でなければ海の清々しい景色が広がっているのだろう。
「そんなに固くならなくても大丈夫だよ」
片瀬と向かい合って座った優花は、落ち着きなくそわそわとした。
「でも、こんなお店は初めてで……」
どことなく格式が高い雰囲気が、優花を緊張させる。
「優花を余計にビビらせるかもしれないけど、この店は都内にもあってね、政財界の大物がこぞって通う店なんだ」
やっぱり。〝どことなく〟どころではない。大いに格式が高いのだ。
そんな店に自分がいるのが、あまりにも場違いな気がしてならない。
「そんな不安そうな顔しないで。個室にいるんだし、いつも通りの優花でいいんだから」
「うん……」
優花は所在なさげに頷いた。