溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
ふたりの間にあった甘い空気が一気に取り払われる。
「片瀬、くん……?」
心細さで声が震える。
「……ごめん、優花」
「え?」
それはどういう意味の謝罪なのか。
優花には意図が掴めず、片瀬を謝らせるような事態を招いた自分が恨めしい。
「悪かった」
重々しく謝ったかと思えば、片瀬はネクタイをシュルシュルと音を立てて外しながら立ち上がり、優花を残して部屋を出て行ってしまった。
「……どうして?」
心の声が口から零れる。優花はベッドの上で途方に暮れた。