溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
花開く想い
三日後の土曜日は、高校の同窓会が行われる日だった。
片瀬に一緒に行こうと誘われていた優花だが、あれからも片瀬とは微妙な距離を保っているため、当初の予定通り欠席にしようと考えていた。
この頃の優花がしているようにダイニングテーブルで簿記のテキストを開いていると、片瀬がそこへ姿を現した。
普段、ラフなスタイルの髪は両サイドを整髪料で固め、光沢のあるブルーグレーのスーツにベビーピンクのワイシャツ。スーツと同色のネクタイを合わせ、ドレッシーな装いだ。
いつも上質なスーツを着こなしている片瀬だが、今日はいつにも増して華やかな雰囲気だった。
あまりにも素敵すぎて真っすぐ見られない。
「優花、支度しないの?」
普段着のままの優花に片瀬が不思議そうにする。
「あ、うん。私、やっぱり行かないことにするね」
「……どうして?」
片瀬がわずかに目を尖らせた。一緒に行くと約束したのに、というところか。
でも、優花がいては邪魔だろう。