溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「着ていくような服はないし、もともと返事も出してないから」
そもそも優花は、あまり乗り気でもない。
「服がない? それならこれから準備すればいいよ」
「そんな時間はないから」
開始時刻は午後五時。すでに三時だから、買いに行く時間的余裕はない。
「そんなことはないよ。ほら、行こう。それに、幹事には優花が出席することを伝えてあるから」
そう言ったかと思えば、片瀬は座っている優花の手首を掴み、強引に立たせた。その弾みで椅子がカタンと音を立てる。
「え、ちょっと待って……」
「いいから、行くよ」
「待って、バッグ……!」
片瀬は有無を言わさず優花を引っ張り、そのまま部屋を出たかと思えば、地下駐車場で車に押し込んだ。