溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
こうして優花にするように洋服をあてがい、着飾らせてどこかへ連れ出す。
そんなことを思い知り、胸の奥がキリキリと痛んだ。
優花ではどれがいいのか決められず、結局は片瀬の一存でピンクベージュのフレアタイプワンピースが選ばれた。
深く広い開きが特徴のボートネックでデコルテラインをすっきりと見せ、繊細なレースでシンプルな中にも愛らしさがある。ハイウエスト位置での切り替えが足長効果も期待できそうだ。
そのワンピースに着替えたまま店を出ると、片瀬はその数軒先にある美容院へ優花を案内する。
着ているものとヘアメイクのアンバランスさは優花も気になったが、まさか美容院まで連れていかれるとは思いもしなかった。
でも、ここまで来た以上、今さら引き返すこともできない。されるがままヘアメイクも施された。
そうして変身が完成した自分はまるで別人のようで、どこか遠くから眺めているような感覚だ。
片瀬に真っすぐ見つめられて「綺麗だよ」と言われ、頬が熱くなる。お世辞だとわかっていても、嬉しさを隠しきれない。
片瀬にとっては、なんてことのない日常の一コマだろう。それに翻弄される自分が歯がゆくて仕方がなかった。