溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

同窓会の会場は、外資系高級ホテル『エステラ』だった。天井が高く広いエントランスロビーは大理石が光り輝き、大きく斬新なデザインのフラワーアレンジメントに出迎えられた。

行くつもりがなかったため、案内状をよく見もしなかった優花は、ホテルに足を踏み入れただけで緊張させられてしまう。これまでの優花にはまったく縁のない場所だから、それも当然だ。
行き交う人の半分が外国人なのも、異世界へ連れてこられた気分にさせる。

片瀬によると、会場は三階の大広間らしい。


「こっちだよ」


片瀬から急に腰に手を添えられ、優花の鼓動がドクンと弾む。ハッとして片瀬を見てみれば、久しぶりの優しい笑顔があった。

人気者の片瀬と一緒に登場するのは、できれば避けたい。ただでさえマンションに置いてもらっているのだ。あらぬ疑いをかけられたら、片瀬の迷惑になるだろう。


「片瀬くん、私、レストルームに寄っていきたいから、先に行ってて」
「それならここで待つよ」

今日の片瀬はどこかおかしい。ここ最近ずっと優花を避けてきたのに、いったいどういうつもりなのだろう。
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