Crazy for you ~引きこもり姫と肉食シェフ~
2.
藤堂の店での昼食を終えて、莉子は元町商店街で買い物をしていた。
藤堂がいつも作ってくれる夕飯分のお弁当を下げては少し恥ずかしかったが、一旦帰ったら絶対家から出ないだろうと思えた。
藤堂の店に通うようになって、さすがに洋服のストックがなくなっていた。コーディネイトを変えてもさすがに三巡目に入ろうとすると恥ずかしさが込み上げてくる。
通販サイトも覗いたが。折角名だたるファッションブランドが立ち並ぶ元町である、少し物色してみようと思ったのだ。
店員と会話しながら服を選ぶのがまず慣れなかった。それでも素直に、いつもは着れればいいやくらいで選ぶと言ったら、あれやこれやと提案してくれた。さすがに店員はプロだと思った、莉子の好みを当て、色も似あうものを選んでくれた。いくつか試着した中でこれだと思うワンピースを買っていた。
スタンドカラーの七分袖のワンピースは、生地もネル素材でかっちりした印象のものだ。 その紙袋を提げて、なおも商店街を歩いていた。それでも高級がつきそうな店はスルーしてしまう、つい無難なカジュアルファッションの店に入りそうになって、莉子は脇道に入った。
裏通りでふと足を止めたのは、ハワイアンなグッズを取り扱う店だった。店頭のマネキンが着ている、フラダンスで着るパウスカートやフラドレスに目を奪われた。
(派手だなあ……)
カラフルなハワイアン生地だった。
(衣装だからか。もっと地味な色や柄だったら普段着になるのにな)
それでもギャザーがたっぷり寄ったスカートや、パフスリーブが付いたチューブトップ状のワンピースは、莉子には少し恥ずかしい。胸元や背中が露わになっている。
(でも、可愛いは、可愛い……)
ふと、藤堂の顔が浮かんだ。藤堂の好みはどうなのだろう。いつも自分の服装を見ておかしいとか趣味が悪いとか思っていないだろうかと不安になる。
(馬鹿だな……藤堂さんの目を気にするなんて……)
「あれー? 花村さんじゃない」
明るい声に心臓が飛び出しそうになる、恐る恐る振り向き確認すると、藤堂が笑顔で手を振りながら歩み寄ってくるところだった。
藤堂がいつも作ってくれる夕飯分のお弁当を下げては少し恥ずかしかったが、一旦帰ったら絶対家から出ないだろうと思えた。
藤堂の店に通うようになって、さすがに洋服のストックがなくなっていた。コーディネイトを変えてもさすがに三巡目に入ろうとすると恥ずかしさが込み上げてくる。
通販サイトも覗いたが。折角名だたるファッションブランドが立ち並ぶ元町である、少し物色してみようと思ったのだ。
店員と会話しながら服を選ぶのがまず慣れなかった。それでも素直に、いつもは着れればいいやくらいで選ぶと言ったら、あれやこれやと提案してくれた。さすがに店員はプロだと思った、莉子の好みを当て、色も似あうものを選んでくれた。いくつか試着した中でこれだと思うワンピースを買っていた。
スタンドカラーの七分袖のワンピースは、生地もネル素材でかっちりした印象のものだ。 その紙袋を提げて、なおも商店街を歩いていた。それでも高級がつきそうな店はスルーしてしまう、つい無難なカジュアルファッションの店に入りそうになって、莉子は脇道に入った。
裏通りでふと足を止めたのは、ハワイアンなグッズを取り扱う店だった。店頭のマネキンが着ている、フラダンスで着るパウスカートやフラドレスに目を奪われた。
(派手だなあ……)
カラフルなハワイアン生地だった。
(衣装だからか。もっと地味な色や柄だったら普段着になるのにな)
それでもギャザーがたっぷり寄ったスカートや、パフスリーブが付いたチューブトップ状のワンピースは、莉子には少し恥ずかしい。胸元や背中が露わになっている。
(でも、可愛いは、可愛い……)
ふと、藤堂の顔が浮かんだ。藤堂の好みはどうなのだろう。いつも自分の服装を見ておかしいとか趣味が悪いとか思っていないだろうかと不安になる。
(馬鹿だな……藤堂さんの目を気にするなんて……)
「あれー? 花村さんじゃない」
明るい声に心臓が飛び出しそうになる、恐る恐る振り向き確認すると、藤堂が笑顔で手を振りながら歩み寄ってくるところだった。