風が吹いたら
          そうだ、これだ。

僕は、やっと答えが見つかったというより、むしろ 

この答えしかない。

そして、これなら みーにも分かってもらえる。

そんな確信があった。

それは『風』だ。

僕たちは会えない時の約束で『空』以外にもう1つ

『風』というワードがあったのを思い出したのだ。

バイト続きでなかなか会えず、みーがあまりにも

寂しいと言うので僕は みーを元気づける為に

「寂しい時に向かい風が強く吹いたら

それは僕が風になって会いに来たと思ってよ。」

と、みーのようにちょっと変わった約束を言った事が

あった。だから僕が みーに風を起こせば

寂しがらずに元気を出すんだと言う僕のメッセージが

伝わるはずだと。

僕は、もう死んでしまったから肉体はない。

言い換えれば何にでもなれるはずだ。

僕は風になる!!!

そうひらめいたんだ。



「お前の答えが出たみたいだな、長かったぜ。

まぁ、答えが出て良かった。」

そう言って少し笑う支配人を見て、僕は嬉しくなった。

僕は支配人の「まぁ、・・・」という言い方が好きだ。

これは支配人の口癖だろうけど、何だか僕の緊張を

和らげてくれている。

それにやっぱり あの「見守っている」の言葉が

僕の心の中に温かく、深く刻まれていた。
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