風が吹いたら
「さっ、行くぞ。」

そう言って支配人は、いきなり僕の腕をつかんで

目を閉じた。

「えっ、どこに?」

そう聞く間もなく支配人と僕は一瞬にして

消えてしまい、そしてある場所にたどり着いていた。

それは瞬きする間もない、本当に一瞬の出来事で、

僕は茫然としてしまった。

瞬間移動には驚いたが支配人は黙ったままで、

場所を変えた理由については何も言わなかった。

頭が混乱気味で、本当は支配人にいろいろ

聞きたかったが、支配人の沈黙がかえって

僕を冷静にさせていた。

< 52 / 111 >

この作品をシェア

pagetop