風が吹いたら
僕は死んで間もないせいか、まだ人間の住む

この世界の方が馴染み深かった。

このカップルベンチだって、つい最近まで みーと

一緒に座っていたんだ。

何でもお揃いにするのが好きだった みーは、

同じ携帯の待ち受けを見て

「お揃いが1つ増えたぁ。」

と、幼い子供のようにはしゃいでいたのを思い出した。

あの頃の2人は本当に幸せで、まるで昨日のように

思い出される。それが今、こんな形でこのベンチを

見ている事が哀しくて寂しくて悔しくてやりきれない。
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