風が吹いたら
当然、みーは僕に気づく事はなかったが、

久しぶりに見た みーはやっぱり可愛くて、ずっと

このまま時が止まればいいと思うほど愛おしかった。

それに比べて みーは、しょんぼりしながら

活気のない歩き方でトボトボと歩き、

あのカップルベンチの前で立ち止まった。

しかしそこには座らず向かいにある普通のベンチに

ゆっくりと座りだした。

みーを見て心が弾むほど嬉しかった僕の気持ちとは

裏腹にみーの表情は暗く、少し痩せ細った

感じにも見えた。

みーは沈んだ表情のまま、チラッとカップルベンチを

見た後、静かに涙をこぼし始めた。

みーも僕と同じように、幸せだった 

あの頃が忘れられず公園に来るものの

あのカップルベンチには座れずに

哀しくて泣いていたのだった。
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