風が吹いたら
僕はベンチに座っている みーの方に向かって、

割れんばかりの大音声をあげ、持っていた念の玉を

思いっきり投げつけた!

玉は電光石火の早業で、一直線に迷うことなく

みーに命中した。

しかし、それと同時に投げつけた衝撃で 強烈な光の

眩しさで視界全体が何も見えず、その後どうなったのか

全く把握できずにいた。

みーはどうなったのか、成功すればどんな状態になって

いるのか、僕はハラハラして落ち着かず気持ちばかりが

焦っていた。

すると光の輝きが次第に衰え始め、

ゆっくりと元の状態に戻りだしてきた。

そして視界がハッキリと確認できる頃には、

あたりは何事もなかったように静まりかえり、

僕が念の玉を投げる前と全く

変わらない状態になっていたのだ。

一体どうなっているんだ???

僕は みーがどうなったのか気になり、

すぐさまベンチの方へ目をやった。

僕の念が通じたのか、確かに みーのまわりには風が

吹いていた。しかしその風というのは、向かい風とは

程遠く、枯葉が1枚舞う程度のものでしかなかった。
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