野獣は時に優しく牙を剥く

 湯気を立たせて出てきた龍之介は双子の興奮する姿を見て微笑んでいた。

「まぁ、健康を売りにしてるのにだらしない体してちゃダメだろ?
 俺の体は言わば売り物なの。」

 どこまでも仕事なんだなぁと頬を緩ませると双子はまたキャッキャッと騒いでいる。

「買えるの?」

「買っていいの?」

 そういう意味じゃないのに、と思っていると龍之介は真面目に返している。

「買ってどうする。」

 龍之介の質問に双子は声を合わせた。

「澪姉にプレゼントするーっ!」

「ブッ。」

 吹き出した龍之介と目を合わせて苦笑した。

 分かってて言ってるとしか思えない。
 まったく。
 ませガキなんだから。と、肩を竦めた。

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