野獣は時に優しく牙を剥く

 数人で入った面接は会議室のような場所。

 前の人たちが話す内容に頭が真っ白になった時に自分の番が回ってきた。

「相川澪さん。」

「はい。」

 名前を呼ばて辛うじて返事をした。

「あなたの夢はなんですか?」

 質問の内容が他の人と毛色が違うことに驚いて顔を上げた。
 そもそも面接の時に下を向いている自分は負け試合をしに行っていたんだと思う。

「夢……ですか。」

 面接官は何人かいて、質問をしたのはその中でも若そうな人だった。

 不採用が決定しているからなんだと理解した。
 それなら何を話したって構わないとも思った。

「進学校に行っていたのに、大学に行かずに就職したいみたいだから。」

「それは、、。
 私は祖父母に育ててもらっているのですが、今年に入って祖母が亡くなってしまいました。
 それで甘えておらずに働かなければと就職希望に変更しました。」

「そう。」

 静かにそう言った面接官は改めて質問をした。

「それで夢は?」

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