野獣は時に優しく牙を剥く
朝食を食べながら本日の予定を決めていく。
決めていくというよりも谷に言われることを受け入れていくという表現の方が正しそうだ。
「この後、おじいちゃんに会いに行ってもいいかな?」
「……はい。」
「色々と質問したり、やってもらいたいことがあるんだ。」
「はい。」
頷く澪に谷は面食らったようにぼやいた。
「どうしたの?
急に素直でそれはそれで気味が悪いよ。」
ひどい言われように澪はむくれてそっぽを向いた。
「じゃ嫌です、と言えばいいですか?」
反抗的な態度に谷は苦笑した。
「いや、そういうわけじゃないけどね。
急にどうしたのかなって不思議に思うだろ?」
訝る視線を向けられて心を読まれないように「別に何も」と言葉少なに返した。