クラスメイトの告白。
図書室のドアを開けると、すでに数名の生徒がいた。
机に座って課題をやっている生徒や、本を読んでいる生徒。
手紙の相手は誰だろうと私がキョロキョロしていると、カウンターのところから私に笑顔で手を振っている彼が目に入った。
緑河くんだ。
そういえば、彼は図書委員だった。
彼のそばに行き、私は手紙を見せる。
「これって緑河くんが?」
「そうだよ」
「名前くらい書いてよ」
「へっへ~。ドキドキした?」
「すぐからかうんだから。それよりどうして私を呼び出したの?」
「じつはさ……返却された本の整理、手伝ってほしいんだけど」
「本の整理? 全然いいよ!」
なーんだ。それなら最初からそう手紙に書いてくれればいいのに。
今朝から放課後まで、ずっと手紙のことが気になっていた。
「返却された本って、どこ? あ、これかな?」
カウンターの下にあった大きなかごの中に入っている数十冊の本の前に、私はしゃがみこむ。
「本棚の……元の場所に戻せばいいんだよね?」
私が笑顔でたずねると、緑河くんは優しく微笑んで私を見つめる。
「風杏って、あいかわらずだな」
「え? なにが?」
「急なめんどくさい頼み事なのに、嫌な顔ひとつしないで手伝ってくれる」
「今日、特に予定もないし平気だよ」
「同じクラスだったときから思ってたけど、本当イイ子だよな~」
私が本を抱えて本棚のほうへ歩いていくと、緑河くんもうしろからついてくる。
「手伝ってくれそうな子、私しかいなかったの?」
「風杏と一緒にいたくて」
「はいはい」