クラスメイトの告白。


「え? あの、私、クラスメイトの家をさがしてまして……」


彼は自分の顔を指さす。


「俺の顔見てわかんない?」


「え……? 顔……ですか?」


あ、もしかしてこの人……伊原くんのお兄さんか弟さん?


伊原くんと全く雰囲気がちがうから、わからなかった。


それに顔も似てないし……あれ?


伊原くんの顔って、どんな顔だっけ?


あのもっさりとした黒髪に黒縁のメガネで、顔はいつも半分くらい隠れている。


考えてみれば、あの雰囲気で伊原くんだと判断しているだけで、彼の顔をじっくりと見たことはない気がする……。


「やっと気づいた?」


「え? あ、はい」


高校生っぽいし、お兄さんじゃなくて弟さんかな?


それとも、まったく顔が似ていない双子とか?


「どーぞ。上がって」


「おじゃまします」


伊原くんは部屋の中にいるのかな?


いきなり人のこと家に呼んでおいて、なんで出てきてくれないんだろう。


玄関で靴をぬぐ前に、もう一度ちゃんと挨拶をする。


「私、理埜くんと同じクラスの汐野風杏といいます」


「……あらたまって、どーも」


「おじゃまします」


男の子の家に入るなんて、初めてで緊張する。


とりあえず、伊原くんの弟よ。


とてもいい体をしていることはわかったから、早く服を着てください。


どこを見ていいのかわからないよ~。
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