クラスメイトの告白。
「どしたっ!?」
「こ、これっ……」
私は、床の上にある大きな黒い物体を指さす。
「なんだよ、びっくりさせて……」
「な、な、なんでそんな冷静なの!?」
よく見ると……床の黒い物体は、もっさりとした黒い髪だった。
「ヅ、ヅラ……!?」
「シャワー浴びる前に、取ってそこに置いたままだった。驚かせて悪かったな」
「ちょ、ちょっと待って……あなたヅラなの?」
「何回、ヅラって言うんだよ?」
「ごめん。カツラなの?」
「……言い方の問題じゃないけど。まぁいいや」
私は弟くんのうしろに立ち、彼の後頭部をジッと見る。
「なんだよ?」
「見た感じ、ハゲてないと思うんだけど……」
「最初からハゲてねぇわ」
「じゃあ、どうしてヅラ……カツラかぶってるの?」
「てか、もしかしてまだ気づいてないとか? 部屋上がる前に気づいたんじゃなかったのかよ?」
「何を……?」
「俺のこと、誰だと思ってる?」
「伊原くんの弟さんでしょ?」
「……どこでそうなった?」
「え? じゃあ誰?」