クラスメイトの告白。
今日は朝から赤西さんの穏やかな表情と笑顔も見れたし、音ちゃんの顔色もよさそうだったし、なんだかうれしい。
教室に向かう私は、歌をくちずさみながら階段を上がっていく。
今日は伊原くん学校に来るといいな。
白石さんの様子も聞きたい。
私は白石さんが目覚めたとき以来、お見舞いに行っていない。
白石さんと私は、一度も同じクラスになったこともなく、話したこともおそらくない。
伊原くんから相棒になることを頼まれて、彼と事故のことを調べているうちに、私が一方的に白石さんのことをよく知った気持ちになっていたけど、
白石さんからしてみれば、私のことは名前と顔を知っているだけの同級生だ。
私がお見舞いに何度も行ったら、白石さんは不思議に思うだろうし、
音ちゃんが事故の真相を話してくれたとき、白石さんの生い立ちのことも少し聞いた。
白石さんがいじめや人に裏切られた過去があり、人に対して壁を作ってしまうことや、いまでも友達を作るのが怖いこと。
ほとんど知らない私がそばにいたら、白石さんを疲れさせてしまう気がした。
最初、伊原くんが“俺と仲がいいって言えばいいじゃん”と言ってくれたけど、それもやっぱり白石さんがもう少し元気になってからのほうがいいと思った。
だから早く元気になってほしくて、神社にお祈りに行っている。