クラスメイトの告白。
「じゃあ……伊原くんの親代わりっていうのは、事務所の社長さん?」
「社長が寄付していた施設の子どもたちの中に、ギター弾いて歌ってた中学生の俺がいたんだ。たまたま社長が施設に来たとき、スカウトしてくれた」
「スカウトされるなんて、すごいね。すでに才能があったんだね」
「死んだ母親が若いとき歌手になるのが夢だったらしくて、よく歌ってくれたし、俺も茉雛も小さいころから歌うことが好きだった」
お母さんの夢を、伊原くんが叶えたんだ。
「茉雛と俺は、両親の事故のあと別々の施設に預けられて、お互いに居場所がわからなくなった。だけど、社長が茉雛をさがしてくれて、高校1年のときに再会したんだ。再会してから、茉雛に会うために何度か白石家にも遊びに行った。そんなときに茉雛の事故が起きて……」
「そういうことだったんだ」
「社長にはたくさん世話になってるから、約束は守らないと」