クラスメイトの告白。
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高校生活最後の文化祭は、朝から天気にも恵まれ、大盛況のうちに午前中が終わった。
校舎のまわりは田んぼに囲まれ、普段はのんびりとした静かな田舎の高校だけど、今日は一般公開もしているため、地元のお祭りのような雰囲気もある。
文化祭実行委員の私は、ゆっくりと校内をまわるほどの時間はないけど、係の人たちと交代で休みながら、文化祭を楽しんでいる。
私が本当に忙しくなるのは、午後からだ。
午後には、私が企画書を出した大きなイベントがある。
文化祭のパンフレットにも、“アーティストによるスペシャルライブ”と書かれているだけで、ムーンライトがやってくることは、一部の先生と私しか知らない。
そして、伊原くんが学校に来るのも今日が最後。
正確に言えば、クラスメイトの伊原くんではなく、ムーンライトのヒカルとして学校にやってくる。
私は、胸元に手をあて、制服のブラウスの下に隠れているネックレスに触れた。
彼と一緒に海へ行った日、彼がくれたプレゼント。
あれから今日まで、時間が過ぎるのは、あっというまだった。
彼と会えるのも、今日が最後。