クラスメイトの告白。
「理由はいろいろあるけど……ひとつは、男にあんま興味なさそうなところ?」
「それ……私に彼氏がいないこと軽くディスってます?」
「いやいや、ディスってない」
「はいはい、たしかに初恋の経験もないまま高校生活が終わりそうですよ」
悲しくつぶやいた私は、肩を落としてため息をつく。
「俺の言い方が悪かった! そうじゃなくて、ほら、たとえばさ。いま流行ってる4人組の高校生バンドいるじゃん?」
「ムーンライト?」
「あ、一応バンド名くらいは知ってんだな」
「うん。だってクラスの女子たちも、その話題ばっかりだし」
「遠くから見ててさ、その話題になると汐野いっつも興味なさそうだなーって」
「え!? そんな顔に出てる?」
盛り上がってる空気を壊さないように、黙ってニコニコしていたつもりなんだけど……おかしいな。
これから気をつけなきゃ。
「クラスの女子も、誰がイケメンとかそんな話ばっかしてるもんな」
「そうだね。ムーンライトだと、ボーカルのヒカルくんが人気らしいよ?」
「ふ~ん。汐野は?」
「お察しのとおり、私イケメンとか、そんなに興味ないっていうか……」
「だと思った」
「流行りにも、ついていけないというか……」
「いいじゃん。無理に流行りに乗ろうとしなくても。流行りだからって、いいと思うかは人それぞれだし。自分は自分って感じで、汐野かっこいいじゃん」
学生って、いつも何かがまわりで流行っている。
それについていけないと、かっこわるいとかダサいと思われる……ずっと、そう思っていた。
だから、そんなふうに言ってくれる伊原くんに少し驚いた。