クラスメイトの告白。


――キーンコーン、カーンコーン。


3時間目の授業終了のチャイムが鳴り、先生が黒板を消しはじめる。


私は教科書やノートを机の中にしまい、緑河くんのいる1組に行こうと席を立つと、うしろの席の音ちゃんがめずらしく話しかけてきた。


「風杏ちゃん、今日よく教室からいなくなるね」


「あ、うん。えっと……トイレ! 今日なんか朝からトイレ近いんだよね~」


「体調悪いの? 平気?」


「元気、元気っ!! 音ちゃんこそ、もうお腹痛いのは大丈夫?」


「うん、ありがとう」


昨日の朝は、生理痛でつらそうな音ちゃんだったけど、今日は平気そうで安心した。


「じゃあ私、トイレ行ってくるねっ」


トイレに行くなんて、べつにつかなくてもいい嘘をついてしまった。


だけど、伊原くんと半年前の事故のことを調べていることは、音ちゃんに言えないし……。
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