クラスメイトの告白。


教室を出るとき、伊原くんと一瞬目が合った。


“いってくるね、相棒”と、心の中でつぶやいた私は、すぐに視線をそらす。


教室を出て、1組に向かう。


休み時間で生徒たちが騒がしい廊下。


1組の教室からは、次々と生徒たちが教科書などを持って廊下に出てくる。


生徒が持っている教科書を見ると、音楽の教科書だ。


どうやら1組の次の授業は、音楽らしい。


ということは、音楽室に移動するから、そのあいだに話を聞こう。


私は、緑河くんが教室から出てくるのを廊下で待った。


数分後、彼はクラスの女子と話しながら教室から出てきた。


……またかいっ!


心の中で叫んだ私は、静かにため息をこぼす。


緑河くんは女子生徒と楽しそうにおしゃべりしながら、廊下を歩いていく。


ふたりのうしろ姿を見つめてその場に立ちつくしていると、緑河くんと女子生徒は手を振って離れた。


緑河くんはそのまま男子トイレに入り、女子生徒は階段を下りていく。


チャ、チャンス……!!
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