クラスメイトの告白。
私はトイレの前を通りすぎて、階段を下りていく。
階段の踊り場なら、廊下で話すよりも人目につきにくいよね。
ここで緑河くんが来るのを待とう。
音楽室に行くなら、ここを通るはず。
すると、少ししてから緑河くんの姿が見えた。
制服を着崩して、耳にはピアス。
彼は、短く茶色い髪を触りながら階段を下りてくる。
「あ、風杏じゃん。元気~?」
緑河くんは、女子だったら誰に対しても下の名前で呼ぶ。
「うん、元気だよ」
「どうした? 俺のこと待ってたの?」
「緑河くん、あのね……緑河くんに話があって……」
「なになに~? デートの誘いかな?」
彼はニコッとして、私の肩を抱き寄せる。