クラスメイトの告白。
「ちがうよ、もう!! すぐそうやってからかう」
私は緑河くんの手をどけるけど、すぐに彼は私の肩に手をおきなおす。
「じゃ、俺からデート誘っていい?」
前から誰にでもこの調子だから、本気で誘ってないのはわかってる。
緑河くんにとっては、これが挨拶のようなもの。
だけど、彼女がいてもこの調子だと……彼女もやきもきするだろうな。
「彼女がいるのに、冗談でもほかの女の子デートに誘うなんて……」
「彼女?」
彼はキョトンとした顔をする。
「彼女なんていないよ?」
「またまた~昨日の図書……」
ヤバい!!
「なんでもない」
「昨日?」
「いや、あのね、昨日も緑河くんのことカッコイイって言ってる女子たちがいたから、てっきり彼女いるんだと思って……」
危ない、危ない。
うっかり話してしまいそうになった。
昨日の昼休み、緑河くんが女の子とキスしたり、いちゃついてたのを目撃したこと。
私が図書室にいたことがバレるところだった。
「彼女いないよ。俺とデートする気になった?」
「しないよーだっ」
「ふっ……風杏は2年生のときから変わんないな」
「え?」
「俺に興味ないところ」
緑河くん……顔が近い。
近すぎる。