嫌われ者の小鳥遊さんは、好かれることに慣れてない
普段は学校の噂話になんてかけらの興味もない私だけれど、色々な意味で異質の宇津井先輩に関する話は何となく知っていた。


不本意ながら先輩と関わるようになって、これ以上学校が居心地の悪いものになってしまっては敵わないと第二図書室以外で関わることを深く拒絶していた私。


そんな私の気持ちを知ってか知らずか、宇津井先輩は図書室に来ない私を呼びに教室に訪れた一回を除けば、図書室以外で私に接触を図ろうとしてくる事はなかった。



そうやって女子達からの更なる窓になることを避けていたのに、今日の帰り際遂に女子達から囲まれてしまった。



…非常に面倒くさいけれど、こうなってしまったものは仕方がない。ここで拒否してもまた同じような事が起こるだろうし、大人しく付いていった方が賢明だろう。




「小鳥遊さん、最近宇津井先輩にちょっかいかけてるんだって?それがどういうことか、分かってやってんの?」

何でもテンプレート的な、体育館の裏側に連れて来られた私。其処には一年から三年までの様々なシューズの色を履いた女子達が辛辣な面持ちで立っていた。性格な数は分からないが、少なくとも十人は超えている。


理不尽な呼び出しを受けるのは初めてではなかったが、流石にこんなにも大勢からのそれは経験した事がない。思わず面食らってしまったが、それを表情には出さなかった。



「興味なさそうなふりして、ちゃっかりしてるよね」

「宇津井先輩に憧れてる人は沢山居るけど、先輩の迷惑にならないように皆我慢してるのに」

「涼しい顔して先輩に取り入ろうとして、そういうの気分悪い」

「先輩だって、迷惑に思ってるって何で分からないかな」

各々が早口で捲し立てるので誰が何を言っているのか良く分からないが、取り敢えず全ての話が事実無根であるという事は明らかだった。


けれど、彼女達にとってはそれが真実かどうかなんてどうでも良いのだろう。特に私を元々嫌っているクラスメイトからすれば、私が何かをしているというだけで腹が立つに違いない。
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