お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
「いいから大人しくしてろ」
「だって…あ、歩けるから自分で!」
「嘘つけ。足も捻ってるくせに」
「…っ」
真っ赤な顔して黙りこくる夏海。どうやら図星だったらしい。
ったく…
「昔から夏海は大丈夫じゃない時も、大丈夫って言うよな」
「だって…」
「俺の前では強がんじゃねーよ」
まぁ強がってる夏海も可愛いんだけどな…!と呟くのは心の中だけにしとく。
保健室に着くと、先生が手際よく怪我の処置をしてくれた。
「手の怪我は忘れずに消毒してね。足は捻挫してるかもしれないから病院に行った方がいいわね」
「分かりました!」
責任持って俺が病院に連れて行きます!
深く頷いた俺に、先生が苦笑いした。
「…まぁ君がいれば大丈夫そうね。悪いんだけどこれから私、外出しなきゃいけないの。もう少しで6時間目も終わりだから、このままここでゆっくりしたら帰りなさい。じゃぁね」
そして忙しそうに保健室を出て行く先生。
手と足を包帯でグルグル巻きにされた夏海と俺、2人きりになった。
「………」
気まずそうに俺とは反対方向を見ている夏海。
「…夏海」
俺が話しかけると、ピクッとその肩が揺れた。