お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
言われてみれば、俺が校門前で仲良く話す夏海と鈴木を見て慌てて駆け寄った時に、追いついてきた結衣に腕を組まれたような気もする。
結衣は昔からボディタッチが多い奴だし、そもそもあの時の俺は夏海と鈴木に夢中で、全く気に留めていなかった。
「…っ、知らないよ名前なんて」
プイッと夏海が顔を背けた。
…もしかして
拗ねてる?
「…なんで夏海が結衣のことなんて気にすんだよ」
「だ、だって…!」
「…もしかして妬いてんの?」
「っはぁ!?」
夏海がガバッと顔を上げて、すぐにまた気まずそうに顔を背けた。
「そ、そんなわけないでしょ!?
お兄ちゃんがどんな女の人と仲良くしようが私には関係ないもん!!」
「……そっか」
俺の繊細なハートは粉々に砕け散った。
一瞬でも期待した俺がバカだった…。
ガクリと項垂れていると
「…でも」
夏海が小さな声で話し出す。