I Still Love You

プロローグ

ねえ？どうして何も言わずにいなくなったの？

そんな事を私は思いながら、目の前に現れたその人を亡霊でも見るような思いでうつろに見つめた。


あの暑くて、初めての気持ちを持て余していた夏。
あの時の蝉の鳴き声は今でも、はっきりと覚えているのに……。

どうして？どうして？いつまでも私はあなたに振り回されると、生まれたときから決まっていたの？

そんな運命は……いらない。
そんな出会いは……いらなかった。

愛なんて知らずに生きていたかった。
全てが変わったあの日。
もう戻れない……笑いあった幸せな日々には。


そんな事を思いながら私は、急に真っ白になった視界を最後に意識が途切れた。