I Still Love You
自嘲気味に日葵は言うと、形が変わってしまったプラスチックカップをなんとかもとに戻そうとした。

「手ごわいな……清水君」

呟くように言った崎本の言葉に、日葵は反射的に顔を上げた。

「どうして?」

「だって、今の長谷川は清水君でいっぱいだろ?」

「そんなこと……」
否定の言葉を述べても、好きとか嫌いとかそんな事はわからないが、日葵の心の中に壮一がいることは事実だ。

壮一とどうこうなるなど、ありえないとはわかっていたが、壮一に振り回されるのが嫌で、崎本に目を向けようとしたことも事実だ。

こんな気持ちでは崎本に失礼だろう。

「やっぱり私は部長に好意を持ってもらえる資格はないです。今まで……」
日葵はそんな気持ちで、崎本にはっきりと断る決心をしたが、その言葉は崎本に止められる。

「待って」

< 103 / 229 >

この作品をシェア

pagetop