I Still Love You
並んで歩いていると、外にでるまでの距離ですら女の子たちの視線痛くて、日葵は少し後ろを俯いて歩いていた。

「おい、朝も言ったよな?急げよ」
舌打ちでも聞こえそうな壮一の声に、「別に一人で行けばいいじゃない」音になったかわからないぐらいの声で、言った日葵だったが、グイっと手を引かれ驚いて顔を上げた。

そこには真っすぐと日葵を見た真っ黒な瞳があり、その瞳からは何か言いたいことがあるのかすらわからなかった。
昔はよくこうやって手を引かれて学校から帰ったが、今こんなことをすればどうなるか、日葵にはよくわかっていた。

(キャー!!)
悲鳴にも似た声とともに、一斉に日葵に向けられた視線。

「ねえ、そうちゃん。もう小さくないんだからこの手やめてよ」

「お前はいつまでたっても小さなガキだろ?」
ため息とともに、ズルズルと引っ張られる様子に、周りからは安堵の声が漏れる。

「ほら、やっぱりあれは小さな子を連行してるだけでしょ?」

日葵はもう何かを言う元気もなく、昔のようにつながれた手をなぜか放したくなくて、キュッとすこしだけ手の力を強めた。

この気持ちはいろいろ言われる言葉からの反抗からか、それとも……。
壮一の骨ばった大きな手が、昔と違う事に気づき日葵はドキッとした。


自分の中で感じたくない思いが沸き上がり、日葵は必死にその事を頭から追い払った。

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