I Still Love You
戸惑いと迷い
それからも、日葵の気持ちなどお構いなしに仕事は降りかかる。
あの謝罪の意味すらわからないまま、時だけは過ぎていった。
時間を見ればもう15時を回っていて、日葵は昼食をとっていないことを思い出して、小さく息をつくと席を立った。

「長谷川さん」
そんな時、日葵のデスクにやってきた柚希に笑顔を向けた。

「どうかした?」
「少し教えていただきたいんですけど、今いいですか?」

柚希は自分のノートPCを日葵のデスクにおくと、画面を見つめる。
「もちろんよ。どれ?」
「この出張のホテル申請なんですけど……」
その言葉に日葵も驚いてその画面を見た。

「出張?いつ?」
「それが、チーフの急な指示で明日名古屋なんです」
少し不安げな柚希の言葉に、日葵は内容を確認する。
「え?あの名古屋であるゲームフェスティバルよね?」
「はい」
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